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今回は加計地区津浪地域に住む河野和志さんにお話を聞きました。
安芸太田町にUターンして45年。じっくり田舎暮らしをしながら行き着いた先は「薪ストーブのある暮らし」でした。
そんな河野さんの心豊かになる田舎生活を薪ストーブ中心にご紹介いたします。
お話を伺った日、アルコールランプで沸かして入れていただいたコーヒーは、香りも味も格別でした!
河野さんは以前、県外で就職し大手住宅メーカーで住宅販売のお仕事をしていました。
たくさんの住宅を見てきたので、建物の知識も豊富です。
もともと北欧の暮らしにとても憧れていた中、仕事で扱ってきた住宅の中には薪ストーブを設置した住宅がありました。
また友人が自宅に薪ストーブを設置したのを知って、「いいなぁ~。」と少しばかりうらやましく思っていました。
こうして徐々に薪ストーブへの憧れが膨らんでいったのです。
35歳の時に当時の会社を辞め、安芸太田町へUターンしました。
しばらく住んだ後、昭和62年に新築の家を立てることになります。
その時まだ薪ストーブの設置はしませんでした。
今から10年前に安芸太田町で薪ストーブを設置すると申請できる補助金があること知り、
「このタイミングだ!」と思い設置する決意をしたそうです。平成24年12月に無事に薪ストーブを設置することができたのです。
設置した薪ストーブは鋳物(いもの)でできたアメリカ製です。鋳物は蓄熱性が高く、一度温まった後もしばらく余熱が持続するのが特徴です。
使用する薪は主に「ナラ」の木です。燃料時間が長く持続性があるため、とても薪ストーブに向いています。
逆に杉の木は早く燃え尽きてしまうため持続性がなくあっという間に薪がなくなってしまいます。
松の木はタールが発生しやすく、煙突にこびりついて火災の原因になるため使用しません。
また、伐採したての水分を多く含む木も同じようにタールが発生しやすいため、絶対に使用しません。
薪は割った後に最低2年は乾燥させます。そうすることでタールの発生を抑えることができますし、燃えやすく扱いやすくなるためです。
こうしてストーブや煙突にダメージがないように、木の種類や焚き方にとても注意を払いながら大事に薪ストーブを使っています。
薪ストーブの温度は200度~300度が理想で、温度計の針を見ながら薪の量を調整します。
薪ストーブの良さは焚いている部屋と他の部屋との寒暖差が少なくなるという点です。(温度のバリアフリー )
もちろんこれには住宅の設計も関わっていますが、部屋の扉を開けて薪ストーブを焚くだけで他の部屋もほのかに暖かく保てます。
薪ストーブが放つ熱エネルギーや赤外線による暖房効果が関係しています。
河野家は熱が逃げないようサッシも工夫しています。
外のサッシの枠をアルミで間3ミリ2重サッシにし、中のサッシの枠を木で間12ミリの2重サッシしました。2重サッシが2枚です!
石油ファンヒーターやエアコンでは薪ストーブの熱量にはかないません。
部屋中のドアを開放する事でどこの部屋も暖かく、寒暖差が無いため動くのも億劫ではありませんし、真冬もお家でも快適に過ごせるので
「家にいるのが好きになるよ」と笑顔で語ってくれました。
薪ストーブを使用すると「結露が出ない」というのも特徴のひとつです。
石油ファンヒーターは湿気も放つため窓いっぱいに結露が出ますが、薪ストーブはこれがありません。
部屋が乾燥するので洗濯物を干してもカラッと乾きますし、干し柿にする場合カビが生えにくく干すのに適した環境になります。
薪の調達は山林に入って伐採し、家に持ち帰って薪わりして乾燥させるところまで一人で行います。
「チェーンソーを使いこなせなきゃ、ダメよ!」と言います。
木を切り倒すのにチェーンソーを使用します。
木を倒す方向を決めてチェーンソーを入れていきますがとても危険な作業です。作業工程をどこで身に着けたのでしょうか?
「森林組合が行う研修を受けたんよ。1週間くらいの研修よ。」と薪を自分で調達するために研修を受けたことを教えてくれました。
山をきれいに保つ面でも伐採は必要です。
「木を切ると家の周り(周辺の山林)がきれいになって気持ちがいい。」と話します。
周辺の環境のためにも良いのですね。
河野家では1シーズン使用する薪の量はどのくらいなのでしょうか?1日焚きっぱなしで計算すると、おおよそ4畳半~6畳半の部屋がいっぱいになる程の薪の量を使用します。
単位で表すと8~10立米です。(1立米あたり1000リットルなので1リットルのペットボトルが8000本~10000本‼‼‼)
また、使用した灰は1シーズンでドラム缶約2缶(約400リットル)です。
「薪を調達するのに木を切るじゃろ!そうすると余計な木がなくなって家の周辺(周辺の山林)がきれいに保てる。薪わりもして、ええ運動じゃろ?これが1セット!田舎暮らし!!必然的に体を動かすことも健康の秘訣かもしれんよね。」
「薪ストーブを焚いて暖をとった後に薪が灰になる。これが質のいい灰でね、春に畑に撒くんよ。ええ土になる。肥料もそんなにいらんし。これで1セット!田舎暮らし‼」
田舎暮らしの醍醐味ですね。すべてが上手く循環し無駄がありません。薪の調達が自分でできる環境にあると薪ストーブで気持ちが豊かになる生活ができますね!
安芸太田町には薪になる資源(森林)がたくさんあります。この町ならではの生活ですね。
毎日薪ストーブ内の灰を処理してから使用します。
また、煙突の掃除は年に1回シーズンが始まる前に分解して中をきれいにしてから使用します。
使用する時の注意点を守れば掃除・メンテナンスは最小限で済みます。
逆におろそかにすればとんでもない事態を招きかねません。
そんなヒヤッとする思いを河野さんは体験されました。さてどんな体験でしょうか?
ある日、薪ストーブを焚いていると、何となく煙突が熱くなっているのに気が付きました。
そのうち熱が煙突周辺の壁にも伝わり熱くなり始めてきました。
「あれ?」と思ったその時はもう遅く、煙突にこびりついたタールに火が着き煙突内が大変なことになっていました。
怖いことにタールに火が付くときは音なく静かに進むため気づきにくいのです。こういったときはどうするのか?
「鎮火するまで待つしかないんよ」と苦笑いしながら言います。
何事もなく鎮火して事なきを得ましたが、これで火事になる場合もあるので煙突内のお掃除はもちろん、タールが付着しにくい焚き方をしましょう。
薪ストーブを設置してからまだ経験が浅い時で、これを機に注意するようになったそうです。
ある日、前日の灰を段ボールに捨てていました。
その段ボールは数日分の灰が入っており、いっぱいになりそうでしたが、もう少し入りそうなので真ん中を掘って入れたそうです。
「外側は完全に鎮火している灰だし、大丈夫!」と安易に考え、勝手口そばの外に段ボールを置きました。
次の日にまた灰を捨てるため段ボールを取りに行くと、灰だけしかなく段ボールが消えていました。
「???……燃えてしまった!」と気づきヒヤッとしたそうです。
「建物のそばだったけー焦ったよ。燃え移らんでよかったよ。」とまたまた苦笑いしながら話してくれました。
鎮火していると安心しても火種があれば再度燃えます。
「灰を捨てる入れ物は鉄でないとダメ!」と経験したからこそ強く語ってくれました。
「今全部話した通り!薪ストーブの特徴や田舎暮らしでの薪ストーブの役割を知ってもらって検討してもらいたい!」と河野さんは強めに言います。
「とてもいいものにはデメリットもあるし、メリットばかりのものはないよ。裏腹なんよ。」
設置前に自分のライフスタイルに合うか考える必要があります。
また薪を購入する場合、1シーズンどのくらいの量が必要かどのくらいの金額になるか等、事前調査が必要です。
河野さんはウォーキングがご趣味です。夜道のウォーキングは少々怖いので(熊など)、強い光を放つライトを持って出かけます。
また、日本各地のウォーキング大会に出場するほどの実力です。
お家には日本各地に行った際のお写真が飾られていました。
そんな河野さん15年前に大病を患ったことがあります。
「もともと趣味のウォーキングを続けていたことが、病の悪化を妨げて快方に向かわせたのではないのかと自分は思っとるんよね。」
と言い、現在もウォーキングを続ける理由を教えてくれました。
ウォーキング大会のために県外各地に行くのですがその所々で友達が出来き、遠く離れていてもお互いにご当地の物を送りあったりしています。
「お互いの話をする中で自分とは違うその人の生活環境やライフスタイルがみえてきておもしろいよ」と楽しそうに話します。
今ではたくさんのウォーキング仲間が日本各地にいらっしゃいます。
河野さんのコミュニケーション能力の高さもあるからでしょう。
趣味もとても充実していて豊かな人生だとうらやましくですね。
毎朝暖かい薪ストーブを囲っておいしいコーヒー飲む仲間もいらっしゃいます。朝恒例の集いです。
ご近所さん・薪ストーブ仲間と暖をとりながら話がはずみます。
とても話好きな河野さんですのでつい時間を忘れて話し込んじゃいそうですね。
現在も仕事を続けているという河野さん、とてもハツラツとしています。
趣味のウォーキングの成果もありますが自分が憧れていた生活ができていることも大きいでしょう。
そして一緒にUターンした奥様にも感謝している事でしょう。