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今回は松原に住む濱口(はまぐち)さん(通称:濱ちゃん)にお話を聞きました。
以前、移住者体験談『座右の銘はBack to nature!自然に帰ろう!』でインタビューをした先輩移住者です。
(こちらからご覧いただけます)
その後どのように暮らしているか取材しました。とても趣味の多い濱ちゃんです。一つ一つ詳しく聞いてみました。
濱ちゃんは奥様と一緒に平成22年9月、安芸太田町に移住してきました。出身は山口県下関市です。
冬は、毎シーズン山口県下関から広島県にある深入山に通っていたことから、第2の人生を考えたときに安芸太田町への移住を決断したのでした。
趣味は、「釣り」に「サーフィン」・「スノーボード」・「山菜取り」・「「キノコ採り」etc…。とにかく自然の中で遊ぶのが大好きです。
移住してから10年以上・・・・。いったいどんな生活(遊び?)をしているのか?はたして……
安芸太田町への移住は、深入山でのバックカントリーの趣味が高じて現実しました。
釣りを楽しみサーフィンを楽しむ濱ちゃんにとって、安芸太田町は島根県の浜田にも瀬戸内海にも車で1時間圏内という夢の立地です。
ニセコへの移住を漠然と思っていた時もあり、ここの立地はニセコに似ていると地元の下関にいるころから着目していたそうです。
移住したことで、中国地方で最高峰の鳥取県に聳え立つ大山(だいせん)にも
「日帰りでバックカントリーができるようになったんよ!」
と楽しそうに話します。もともと田舎育ちで都会に暮らしには興味なく、幼少期に楽しかった思い出の自然を探すようにここで暮らしています。
多趣味なは濱ちゃんから、まずは釣りの話をききました!
海釣りは主に浜田(日本海)方面がメインで、現地まで車で1時間程度です。近いですよね!
釣りは、生まれが海辺の下関で育っていることもあり、子どものころから当たり前に身近にあったものでした。
誰に進められることもなく、釣りは自然にはまったそうです。
海釣りは、すべて効率よく進めます。潮の満ち引きの計算をし、時期と天気でだいたい釣れる時間帯とポイントがわかります。
あとは道具を持って、ルアーを投げて釣るだけ。
素人にはまさか?そんな簡単に?と思いますが、熟練の技なのでしょう。
画像のような魚を見事に釣りあげるのです。
川釣りについて聞いてみました。一言でいうとこの町の「太田川はおもしろい!」そうです。
ヤマメ・鮎・鰻と釣り方も違い3月から10月まで釣りが楽しめます。
また島根県の高津川へ近いのでアクセスしやすく、よく釣りに行くそうです。
同じ魚でも釣った川で味が違うそうです。
お家の囲炉裏でゆっくり焼いて食べたり、網に並べて焼いて食べたりと釣った後も楽しめます。
安芸太田町は海にもある程度近いですし、川はすぐそばを流れていますので、釣り好きの方は住んでいて最高な場所だと思います。
サーフィンも趣味の一つです。
はじめたきっかけは二十歳の時に友人の誘いでした。すぐに魅力にはまり、毎週宮崎県のサーフスポットまで通うようになります。
「波は気圧の変化でおこる。その変化が強ければ強いほど大きな波になる。いい波は台風の前後におこりやすいよねー」
と言い、台風の前後に海へ波を求めて行くようになったそうです。(←決して真まねをしないように‼)
最近は、シーズンで数回程度浜田の海に行きます。ここも効率よく気圧の変化を確認してからです。
濱ちゃんの遊びに無駄はありません。現地へ行ってからできなかったということにならないよう、あらかじめ下調べを念入りにします。
あとは長年の経験からくる感覚で行動します。1秒も無駄がありませんね!
スノーボードについてもお話を聞きました。
移住のメインとなった趣味です。もともとスキーをしていたのですが、サーフ雑誌に「アメリカで雪上のサーフィン」と紹介されていた記事を見たのがスノーボードを始めるきっかけでした。
世の中にまだスノーボードが存在していない時代に、雪の上をボードで走るという衝撃的な記事を見てすぐに道具探しをしました。
しかしなかなか見つからなかったため、自分で作ろう!と思いスノーボード制作に取りかかったのです。
ボード本体はサーフボードを利用し、エッジ部分はドアのアルミサッシを利用して制作しました。スノーボードの型に枠取りしてカットして完成です。
どうにか形になったその手作りスノーボード板を持って恐羅漢スキー場で試乗しました。…が、すぐに滑っている最中に破壊してしまいました。
エッジに使っていたサッシがグニャっと曲がり再生不可能に。さぞかし派手にコケたのでしょうね!
あきらめてまたスキーを滑っていると、ある日道具が売られているとことを知り、さっそくスノーボードを購入しました。
そしてスノーボードへのめり込み、今にいたるわけです。
できたら当時の手作りスノーボードを写真でもいいので見たかったですが、写真を残していないそうです…残念!
深入山の存在について聞いてみました。安芸太田町の西中国山地国定公園内にある名峰の一つです。
濱ちゃんにとって深入山はバックカントリーのホームグランドであり、ニセコの練習場所です。
深入山にはリフトがないので、自分の力で登り自然のままの地形を滑ります。
もちろん圧雪もしないので、パウダースノーが楽しめます。
パウダーを滑る感覚が、サーフィンに似ているそうです。
この感覚を求めて深入山を1時間余り重いザックを背負ってスノーシューでひたすら登ります。
滑り降りるのはあっという間の数分間です。
しかしこの数分のために移住してきたと言っても良いくらい、濱ちゃんとってバックカントリーは人生そのものなのです。
アラスカといえばスキー、スノーボードの聖地。一生に一度は行ってみたい場所です。極上のパウダースノーを滑るならアラスカといわれるほどです。
4~5年前にアラスカのチュガッチ山地でバックカントリーを体験しました。
「おそらく一生に一度だと思う」と語る濱ちゃんは感慨深げでした。
距離的に簡単に行ける場所ではないという意味と、桁違いの「恐怖心」との戦いだったという意味です。
バックカントリーは毎回恐怖心との闘いです。スタート前は「無事に下までたどり着きますように」と祈ってからスタートするそうです。
深入山や大山でも同じように毎回恐怖がありますが、アラスカの現地は比べ物にならない体験でした。
もちろん山岳ガイドさんが案内しますからある程度は安心ですが、それでもかなり信頼できる仲間が一緒じゃないと行動できません。
いろんな危険と隣り合わせであることは承知の遊びです。
ヘリコプターでスタート地点まで行きます。ヘリから降りるときは必ずかがんで下りないと、プロペラが当たったら大変です。
そんな思いまでしてなぜ滑るか聞くと、
「人生だから」と一言。
遊びとは言え、手を抜かず極限の状態まで自分を追い詰め、その状態からやり抜いた達成感は、はかり知れませんね。
釣りにサーフィン、スノーボードと忙しい中、ちょっとした時間を使って春は山菜、秋はきのこを採りに行くのも趣味のひとつです。
「まあ、ひまつぶしよ」とは言うものの、想定外の量を採ります。
春はタラの芽、コシアブラ、こごみ、ノビル、ヨモギとたくさんの種類の山菜が安芸太田町内の山に育ち、その恵を私たち町民は受けます。
この時期はヤマメが釣れる時期で、食卓は山菜の天ぷらとヤマメの塩焼きのご馳走が並びます。お酒も進みますね!
もう一つの暇つぶしという遊びがきのこの採取です。
天然のきのこは本当においしいです!!
香茸、マツタケ、シイタケ、マイタケ、なめこのすべてが天然で採れます。
「毎年同じところに必ず顔を出すんよ、かわいいじゃろ?」
とほほえみながらわが子を思うような雰囲気で話してくれました。
毎年、雨量や天候に左右され、育つ量や顔を出すタイミングに差はありますが、必ず同じところに生えてきてくれるきのこ達が可愛くてしょうがないようです。
生えてきたきのこ達を採って、家で大事に食します。結構な量を採るので(画像の通り!)近所や知人にもおすそ分けします。
濱ちゃんの住まいは空き家を購入し、部分的に自分でリノベーションをして住んでいます。
その一つに奥様のために作った対面キッチンカウンターがあります。とても素人が作ったと思えないほどクオリティーが高いです。
自分の隠れ家的部屋もあり、そこに囲炉裏を作り釣った川魚を焼いて楽しみます。
またお酒も進みます。仲間を呼んで語る場所でもあります。
さらに時間があるときは蔓細工で遊びます。とてもセンスがいいです!
ここまで読んでいただいた皆様の多くは、「濱ちゃん無職かな?」と思われている方が多いかもしれません。
実は濱ちゃんいくつかの仕事をお持ちです!
まずは地域活動が困難になりつつある集落の維持支援活動を行う「集落支援員」をされています。
町職員と連携し、集落への「目配り」として集落の巡回、状況把握等を行っています。
各集落からはとても頼りにされている大事なお仕事です。決められた曜日に出勤しています。
森林セラピスト・里山ガイドをしており、安芸太田町内にあるいくつかのセラピーロードのガイドの仕事もしています。
(こちらからご覧いただけます)<外部リンク>(森林セラピー人・森・癒し安芸太田)
冬は、恐羅漢スキー場でレンタルのスタッフとして働いています。
仕事を掛け持ちするメリットとして、趣味の時間(遊びの時間)を操作しやすいことが第一にあります。
時間の調整がしやすいので、要領よく趣味の時間を作ることができます。
天候で左右される趣味がほとんどなので、その場で決断して即行動しなくはならない為、こうした掛け持ちでいくつかの仕事をすることで自由な時間を作りやすいため、自分にとても合うスタイルだそうです。
しかもいくつか仕事を持てば、それなりに収入も安定してきます。
仕事をしながら自分に合ったライフスタイルをすでに見つけ、充実した毎日を過ごしています。
お仕事のひとつにSAPのインストラクターもしています。
三段峡のきれいなお水の上で流れに身を任せたり時には魚のように流れに逆らってみたり・・・お仕事だけど自然を満喫しています。
板に乗るのは慣れっこなので趣味も兼ねた仕事といった感じですね!
趣味にばかり時間を使う濱ちゃん。実はお子さんが2人います。2人ともご結婚しお子さんがいらっしゃいます。そうです、濱ちゃんにはお孫さんがいらっしゃいます。
お若い時は仕事と子育て中心でした。
「PTAの役員もやって来たんよ!」と胸を張ります。
今みたいに趣味に時間を割けなかった時代でした。
奥さんと一緒に子育て時代を駆け抜け、ようやく時間が取れるようになったとき、趣味のために移住する夫について奥さんはどう思っていたのでしょうか?
「もうあきらめとったよ、あの時は(笑)。でも今は満足しているよ!!」
と安心そうに話してくれました。
釣った魚や採ってきた山菜、キノコを上手に料理するのは奥さんです。
「女房は料理うまいんよ!」と誇らしげです。
奥さんの夫に対して理解があり、自然の恵みを最後までありがたくいただく姿勢はとても尊敬できます。奥さんの移住についてのお話もいつかの機会に聞きたいですね。
いかがでしたでしょうか?安芸太田町の自然を満喫しながら過ごす濱ちゃんのライフスタイルは趣味と相まって素敵な暮らしですね。
安芸太田町の環境だから叶う生活です。
自然から与えられた豊富な恵みを生かした田舎暮らしもまた退屈しなくていいのではないでしょうか?