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今回は、加計地区津浪地域にお住いの、岡田重男さんに薪ストーブについてお話を聞きました。
職場は広島市内でしたが、ずっーと安芸太田町に住み続け現在に至ります。
当日は猫のワオ君もお出迎えしてくれました。
「寒い外で働き、薪ストーブで暖かくなった部屋でくつろぐと幸せを感じる思いです。」
と語る岡田さん。
いったいどんな暮らしなのでしょいうか?ご紹介します!
岡田さんは、定年後にシイタケ栽培を始めました。もともと山林を所有しており、原木の調達が容易だったのと、畑や田んぼも所有していたので、原木に植菌したのちに並べて置けるスペースもあり環境は整っていました。
シイタケに必要な木の太さは直径で20センチ以内なのでそれ以上太くなるといらなくなるわけです。
毎年100本の薪の木に植菌します。シイタケの寿命は約5年で毎年これを繰り返し常に500本の原木がある事になりますが、伐採のたびにシイタケ栽培に適さない太い丸太が出てきてしまいます。
「今は誰も林業をしないから、ほとんどの木が太い!シイタケに向かんのよね。」と話します。
丸太の処分に困っていたところ思いついたのが薪ストーブでした。とても有効な活用です!
薪ストーブを検討しているときに、たまたまテレビで薪ストーブ職人の事を知り、旅行がてら会いに行きました。
【高知県須崎市に住む薪ストーブ職人の小野さん】としか情報がなく、薪ストーブだからと須崎市の山の方をさまよっていたところ、薪ストーブ職人を知っている人とたまたま会い、場所を教えてもらいました。真逆の海方面だったそうです。
「薪ストーブのイメージだと山の方って勝手に思ってね、全然違う方向だったよ!」と笑いながら話してくれました。
無事に職人に会え、薪ストーブのオーダーの話になります。
「あんたが思うようなストーブを作るから」と言われたそうです。
既製品のストーブもありましたが、要望を聞いて理想のストーブを作ってくれるのだとうれしかったそうです。
薪ストーブを置く場所にはレンガで遮熱対策と煙突の出る穴をあけておくようにと言われ、設置まで待っていました。
そして設置の日、薪ストーブの配置と煙突の設置のすべてを業者がやってくれて無事に設置完了しました。
岡田さんの行動力に驚きですね!
割ってすぐの薪は、水分が多く燃えにくいのと、タールを多く発生させるため薪ストーブに適しません。割った後に乾燥させる工程をふみます。
「最低1年は乾かさんと、タールが煙突にこびりついて大変なことになる」と岡田さん。
シイタケ栽培に適さない丸太の木を一定の長さに切り薪わり機で薪にしていきます。
取材当日はそんな大きな丸太がゴロゴロ転がっており、これから薪にされるのを待っていました。
薪にされた後に乾燥のため積み上げて一定期間置きます。
岡田家では1シーズンで8~10立米の薪が必要ですが、買うことなく自分で薪を調達できるのはとてもうらやましいです。
不要と思っていた丸太が今では必要な薪(資源)になっているのを見ると、岡田さんの思いつきは暮らしにとってもとても素晴らしい選択でした。
薪ストーブを焚くところを見せてもらいました。煙突内に冷たい空気があるとスムーズに煙が出ていかないので、煙突内をバーナーで温めるところからはじめます。
ストーブ内に薪を組みますが、空気が通るように隙間を作りながら組みます。
着火のため火の付きやすい杉の葉っぱと小枝を底の中央へ置き、バーナーで点火するとあっという間に薪に火が回り、一気に燃え上がります。
空気調整レバーで火加減を調整します。薪がしっかり乾燥されていると簡単に燃えます。
岡田さんだけではなくご家族も焚き付けをされるそうで、皆さんで楽しまれています。
岡田さんの薪ストーブは2段になっています。
上段はお料理ができる仕様になっていて肉料理・ピザ・おもちを焼くなど楽しんでいます。
オーブントースターなどと違い火力が強いので、餅もあっという間に焼けるそうです。
「ボーっとしていたら餅を焦がしてしまうよ!」と笑いながら話してくれました。
きっと何回か焦がした経験があるのでしょうね。
ご家族が狩猟をしていることもあり、猪肉料理もするそうです。とってもおいしそうですね。田舎ならではです。
オーブンの定番料理ピザももちろん焼いて食べるそうです。聞いているだけでおなかが空いてきますね。
きっと薪ストーブ料理を家族みんなで楽しんでいるのでしょう。
岡田さんは現在シイタケ栽培のほかに、田んぼでもち米づくり、花の栽培と出荷(マイクロアスター)、漁協組合へ勤務と大忙しです。
以前は「あおぞら市」という朝市を自分の敷地内で毎週行っていました。地域の方の野菜などを集めて販売し、地域の活性化に勤めました。
その後朝市の経験もあり「ぷらっとホームつなみ」(安芸太田町津浪地域にある小さな販売所)の店長として6年間働いていました。
現在店長は引退し、収穫したもち米で豆餅を作ってぷらっとホームつなみに出荷しています。もち米がある期間は毎朝餅をつくそうです。
岡田さんの1年間はやりたいことでたくさん埋まっています。
時期によってはピークが重なることもあって、体がいくつあっても足りないといったところでしょう。
田植えの時期は、他の仕事と重なることもあり、
「どうにか忙しい時期がズレんかねー」と渋いお顔で少し頭を抱えていました。
とにかく精力的に働き、とてもお元気に毎日忙しく過ごされています。
趣味のお話を伺うと、門松作りや、しめ縄飾り作りをされると聞きました。
作品の写真を見せていただきましたがとても趣味で個人が作ったと思えないほどの出来栄えにびっくりしました。
「年末になると勝手に作ってね、親しい人が公共施設に設置してあげるんよ」と少し嬉しそうに語ります。
素敵な飾りの贈り物なんてとてもうれしいですね。岡田さんももらってくれるとう嬉しいようです。
薪ストーブで暖かくなった部屋で趣味の作品作りというのも素敵ですね。
いかかでしたでしょうか?不要だった丸太が薪になって岡田家を薪ストーブで暖かくし、家族団らんに一役かっていました。薪がすぐそばにあるとはとてもうらやましい限りです。
安芸太田町に住み山林の管理はとても大変ですが、こうした幸せな暮らしができるのなら苦ではないかもしれません。
あこがれの薪ストーブ。あこがれのままから日常の風景に変えてみませんか?