本文
つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~(ポスト棚田百選)選定について
農林水産省は平成11年に優れた棚田134地区を「日本の棚田百選」として認定しました。しかし、認定から20年以上が経過し、棚田地域では担い手の減少や農家の高齢化等により従来のような保全活動が難しくなり、棚田の荒廃の危機に直面しています。このような中、令和元年には待望の棚田地域振興法が施行され、その趣旨に基づき着実に棚田地域の振興に向けた取組が広がっています。
そこで、農林水産省は棚田地域の振興に関する取組を積極的に評価し、改めて優良な棚田を「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~(ポスト棚田百選)」として全国で271の棚田を選定しました。
農林水産省 つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~(ポスト棚田百選)の実施について<外部リンク>
広島県内では4か所が選定され、うち3ヶ所が安芸太田町からの選定となりました。
津浪の棚田
津浪地区は地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例として、平成28年に農林水産省より「第3回ディスカバー農山漁村の宝」に選定されました。
JR可部線の津浪駅跡地を活用し整備した野菜販売・食事の交流施設「ぷらっとホームつなみ」を活用し、地元食材や産品等の販売やレストラン運営、そば打ち交流会等の各種イベントを行っています。
地元で栽培している特産品「祇園坊柿」を、地元の農業生産組合「つなみ和(なごみ)の里」で干し柿として加工し、販売を行っています。
竹林を伐採整備し、竹チップたい肥づくりを行っています。竹林を整備することでバッファゾーン効果が上がり、獣害の被害を軽減しています。竹チップによる有機堆肥を使った野菜を生産し、地元のぷらっとホームつなみで販売することで、自然環境の保全を図っています。
棚田の遊休農地を活用したソバ栽培を始め、種蒔きには小学生も参加し収穫後はそば打ち交流会を開催しています。
現在専門家のアドバイスを受けながらビオトープを再生・復活させる企画を進めています。希少なタガメ、ゲンゴロウ等の水生生物と触れ合える環境づくりに取り組んでいます。
津浪の棚田にはカタクリ、ホソバナコバイモ等の希少植物が群生しており、生息地の保護活動に取り組んでいます。
井仁の棚田
井仁の棚田は、平成11年7月に農林水産省より「日本の棚田百選」に認定されました。
さらに平成27年にはアメリカニュース専門チャンネルCNNの「日本の最も美しい場所31選」にも選定され、国際的にも評価を受けています。
こうしたなか、地域おこし協力隊をきっかけに棚田保全活動団体「いにぴちゅ会」を設立し、棚田オーナー制度や、棚田体験会による都市住民との交流イベント等の交流イベントの開催、大学と連携した学生によるインターンシップを行い、地域の困りごと相談や地域住民との交流などを実施しています。学生自身は稲刈りや草刈り、地域での仕事の手伝いなどを通し、学びを深めています。
地域内では、任期を終了した地域おこし協力隊員がクラウドファンディング等を活用し、継続的に都市農村交流活動を行う場として平成29年9月に棚田カフェをオープンしました。オカリナ教室等他地域の住民との交流や地元経済の活性化を目指し、地元産食材を使った軽食やドリンクの提供、産直販売を実施し、地域経済の活性化に尽力しています。
寺領・月の子の棚田
寺領月の子地区では昭和57年頃から棚田を活用した祇園坊柿の団地化を推進し、モデル園として約12ヘクタールへ祇園坊柿の植栽を行い、栽培に長年取り組んできました。
こうした取り組みにより寺領地区は平成4年度に全国土地改良事業団体連合会より「農村景観百選」に選ばれ、今では祇園坊柿は安芸太田町を代表する特産品となっています。
祇園坊柿の生産・加工・販売は地元の営農組織「安芸太田元気村」が中心となって取り組んでいます。祇園坊柿オーナーとの交流や、学校の体験学習受け入れなどの交流事業を積極的に行っているところです。祇園坊柿を加工した「チョコちゃん」は、2013年モンドセレクション銅賞、日本最大級の全国お土産コンテスト「お土産グランプリ2015」で準グランプリを受賞するなど、地域の地道な活動が大きな成果を出しています。